夜尿症

夜尿症とは

夜尿症とは寝ている間に無意識に排尿する状態が5歳を過ぎて月に1回以上あることをいいます。
5歳で約20%、7歳でも約10%のお子さんに夜尿を認めます。
実は夜尿のお子さんは多いのです。

夜尿は成長とともにほとんどが自然になくなっていきます。
けれども、その過程で、お子さんの学校生活・人間関係に影響がでたり、自信をなくしてしまったりして、お子さん自身、困っていることがあります。

夜尿症の原因

  1. 膀胱の容量が少なく、膀胱に尿を貯めることができない
  2. 膀胱の容量は十分だが、尿量が多く膀胱に早く溜まってしまう
  3. 1.と2.に加えて尿意で目が覚めにくい

など夜尿症の原因は様々ありますので、診察時に問診や検査で原因を把握致します。

夜尿症の治療

当院では「スマイル!こども日誌」(夜尿の有無・朝のおしっこの量・夕食の時間などを記録するもの )をつけていただき、「日常生活の対策」を行います。
また便秘症があると夜尿が起こりやすいので、便秘がある場合は便秘の治療を行います。アラーム療法やお薬による治療を行うこともあります。

アラーム療法

夜尿アラームをパンツに装着します。アラームには小さなセンサーがついていて、尿に反応し濡れるとアラームが鳴ります。その音でお子さんを起こす仕組みになっています。アラームで起きることを繰り返すうちに、膀胱に貯められる尿の量が増えていき、夜尿が改善されていきます。

お薬による治療

  • 抗利尿ホルモン薬:寝る前に服用したり点鼻することで、夜間の尿量を減少させる効果があります。
  • 抗コリン薬:膀胱が小さくなるのを抑えることで、貯められる尿量を増やす効果があります。

日常生活での対策

  1. 排尿させるために無理やり夜中に起こさないようにしましょう。
  2. 水分の取り方は朝、昼は多くてもかまいませんが、夕方の水分を控えます。夕食を就寝前2~3時間前にすませることも有効です。夕食から就寝までの水分はコップ1杯以内にしましょう。
  3. 規則正しい生活のリズムを作ってあげましょう。
  4. ・就寝前にトイレに行かせる
    ・十分な睡眠時間を確保する
  5. 利尿作用のあるカフェインを含んだ飲み物(お茶など)を控えましょう。
  6. 寒さ(冷え性)への対策(お腹や足を冷やさない)をしてあげましょう。
  7. おしっこをがまんする訓練をして膀胱の容量を増やしてあげましょう。

最後に

夜尿は子どもの性格・ご家族の育て方などとは関係がありません。

夜尿は親御さんにとってもお洗濯が増えたり、「またなの~…」と思うこともあるかもしません。お子さんは大好きなママ・パパを困らせたくないと思いながら、「またやってしまった…」と自分を責めているかもしれません。

かならず夜尿はよくなりますから「起こさず、焦らず、怒らず、比べない。そしてできたらう~んと褒める」ご家族で協力しておねしょから卒業するという目標を持ってがんばりましょう。

監修
日本小児科学会認定 小児科専門医 樋口麻子