ヒブ感染症とは
ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型という病原体が原因で、略してヒブ(Hib)といわれます。インフルエンザ菌はいわゆる「インフルエンザ」を起こすインフルエンザウイルスとは違うものです。
ヒブ感染症の感染経路
ヒブは人ののどや鼻の奥にいる身近な最近です。
感染経路は主に咳やくしゃみを吸い込むことで感染する飛沫感染が多く、一部の人はヒブが血液中に入り全身に広がります。
ヒブ感染症の主な病気
ヒブが鼻やのどから入り、脳を包む髄膜やのどの奥の喉頭蓋、肺などで炎症を起こします。
特に細菌性髄膜炎を起こすと早期の症状としては、発熱と不機嫌になる程度で風邪と区別できないこともあり診断が遅くなることがあります。その後、ぐったりしたりけいれん、意識が無くなったりし、後遺症が残ったり命を落としてしまうこともあります。
また、喉頭蓋炎になると空気の通り道が狭くなり、窒息して死亡する危険もあります。
ヒブワクチンの効果
ワクチン接種により重症なヒブ感染症をほぼ100%予防できます。
ヒブワクチンは2013年から定期接種のワクチンになり、2014年以降、重症なヒブ感染症は1例も報告がありません。
ヒブワクチンの接種はワクチンを接種していない方への感染症の予防の効果も期待できます。
接種時期と回数
ヒブワクチンの定期接種対象年齢は、生後2か月から5歳未満ですが、生後2か月過ぎたら速やかに接種を行いましょう。
標準的なスケジュールでは生後2か月~4週間間隔で3回、追加接種として3回目から7か月以上13か月未満、おおむね1才で接種します。
定期接種の対象年齢・期間に病気などの理由でヒブワクチンを受けられなかった場合には、2年経過する日までは定期予防接種として接種が可能です。
ただし、ヒブワクチンの接種は10歳が上限となっております。初回の摂取月齢、年齢によっては接種回数が変わります。
ワクチン接種ができない方
- 発熱がある方
- 重篤な急性疾患にかかっている方
- ワクチンの成分によってアナフィラキシー(重度のアレルギー反応)を起こしたことがある方
ワクチン接種に注意が必要な方
以下に当てはまる方は事前にご相談ください。
- 心臓、血管、腎臓、肝臓、血液に持病がある方
- これまでの予防接種で接種後2日以内に発熱や全身性発疹等アレルギーを疑う症状のある方
- 過去にけいれんの既往がある方
- 過去に免疫不全の診断がなされている方
- 先天性免疫不全症の病気をもっている近親者がいる方
- ワクチン成分に対してアレルギー反応を起こすおそれのある方
監修 小児科専門医 大和田夏子